2007.04.13 Friday
[36]尿道ブジー(下)
さて、そんなわけで先生方がやってきて、シャーッとカーテンが閉められました。
狭いベッドの周りに主治医と看護士が何人か入っているのです。
威圧感があることこの上なしです。
「パジャマの下だけ、膝下まで下ろしてください」と言われ、従います。
考えてみれば、大部屋でパンツを下ろすのは初めての体験。
しかし恥ずかしがっている余裕はありません。
もう僕は、目を開けていることができませんでした。
目を固くつむり、手元にあったタオルをぎゅっと握りしめました。
ひんやりとした、ガーゼで消毒する感覚のあと、ペニスの先端から、冷たくて固い異物が、それこそ「グサッ」と進入してきました。
あの、おぞましき逆行性腎盂造影の再現です。
しかし、驚いたのはその後だったのです。
ぐい、ぐぐいとブジーは微妙に角度を変えながら尿道を進み、最後にもう一度ぐいっと進んで止まりました。
動きが止んで、僕はほんの少しだけ息をつぎました。
それまで息を止めていたんです。
すると、主治医はとんでもないことを言ったのです。
「このまま30分くらいじっとしててね。後で抜きに来るから」
そう言って、主治医はさっさと出て行ってしまいました。
看護師がタオルを僕の露出している部分にふわっとかけて、カーテンはそのままにして退散していきました。
恐る恐る、下腹部に視線を向けてみます。
広げられたタオルが、不自然に隆起しています。
子供の頃、ズボンを履いて勃起した状態を「テントが張っている」と言っては笑ったものですが、今のこの状態は、まさしくテントそのものではないか。
しかも先端からブジーが飛び出ているので、その高さたるや、ティピーと呼ばれるネイティブ・アメリカンの紡錘状のテント(インディアン・テント)のようなのです。
自分のペニスはこんなにも長かったのか?
なんてバカなことを考えてる場合ではありません。
とにかく異様な光景です。
しかし、光景が異様なだけならいいのですが、やがてペニス全体がじんじんと痛み始めたのです。特に奥の方(膀胱?)が痛い。
自分なりに現在の状態を分析するに、ブジーの先端は膀胱に達し、膀胱と尿道の境目を支点として安定を保っているのではないか?
でなければ、こんな不自然な、そそり立つような勃起状態は理解できない。
だから、膀胱と尿道の境目には、今、ブジーとペニスの重量が全て負荷されている。
つまり、時間が経過すればするほど、痛みは増すのだ。
僕はうんうんうなりながら、時計を見つめ続けました。
「早く進め!早く進め!」
歯を食いしばって念じた効果があったのかなかったのか・・・それはわかりませんけどね。
とにかく約30分経って、再び主治医登場。
くいっくいっくいーっと、ブジーは入れるときよりは格段に簡単に抜けました。
その途端、一気に圧迫感は消え、痛みも遠ざかりました。
ほーっと安堵の深呼吸をしていると、看護師がちゃちゃっとガーゼでペニスの先端を拭いて、あろう事か、勝手にカーテンを開け放って出て行ってしまったのです。
僕は下半身、丸出しですよ?
慌ててパンツとパジャマを引き上げましたけどね。
この後、おしっこすると見事な血尿でした。
(もう血尿ごときでは驚かない僕)
痛みは一日でひきましたが、それにしても恐ろしい体験でした。
僕は主治医の言ったことを思い出しました。
「入院中、毎週やるからね」
毎週?
・・・・これを何度もやるの?(泣)
この始めての尿道ブジーは、抜糸が終わり、まさに普通の人間へと変容を遂げた、記念すべき日だったのです。
だから直ぐに気持ちは切り替えられましたけどね。
そんなわけで僕は、この尿道ブジーを計6回、体験したわけです。
その中には、ヘルパーさんに黙ってカーテン開けられたり、初々しい看護学生10名ちかくに見学されたり、出血した血が凝固して、おしっこが出なくなったりと、無事に済んだことがなかったかも。
一番ひどかったのは、30分経っても医師がきてくれなかったときです。
僕は泣きそうな声で何度もナースコールをしました。
「痛いんです」と。
看護師は同情してくれたけど(たぶん抜くのは難しくないだろうけど)、勝手に抜くわけにはいきませんからね〜。
ま、滅多に体験できない貴重な出来事でしたが、経験したからといって、僕になんかしらの恩恵があったとは思えません。
当たり前ですが(笑)
狭いベッドの周りに主治医と看護士が何人か入っているのです。
威圧感があることこの上なしです。
「パジャマの下だけ、膝下まで下ろしてください」と言われ、従います。
考えてみれば、大部屋でパンツを下ろすのは初めての体験。
しかし恥ずかしがっている余裕はありません。
もう僕は、目を開けていることができませんでした。
目を固くつむり、手元にあったタオルをぎゅっと握りしめました。
ひんやりとした、ガーゼで消毒する感覚のあと、ペニスの先端から、冷たくて固い異物が、それこそ「グサッ」と進入してきました。
あの、おぞましき逆行性腎盂造影の再現です。
しかし、驚いたのはその後だったのです。
ぐい、ぐぐいとブジーは微妙に角度を変えながら尿道を進み、最後にもう一度ぐいっと進んで止まりました。
動きが止んで、僕はほんの少しだけ息をつぎました。
それまで息を止めていたんです。
すると、主治医はとんでもないことを言ったのです。
「このまま30分くらいじっとしててね。後で抜きに来るから」
そう言って、主治医はさっさと出て行ってしまいました。
看護師がタオルを僕の露出している部分にふわっとかけて、カーテンはそのままにして退散していきました。
恐る恐る、下腹部に視線を向けてみます。
広げられたタオルが、不自然に隆起しています。
子供の頃、ズボンを履いて勃起した状態を「テントが張っている」と言っては笑ったものですが、今のこの状態は、まさしくテントそのものではないか。
しかも先端からブジーが飛び出ているので、その高さたるや、ティピーと呼ばれるネイティブ・アメリカンの紡錘状のテント(インディアン・テント)のようなのです。
自分のペニスはこんなにも長かったのか?
なんてバカなことを考えてる場合ではありません。
とにかく異様な光景です。
しかし、光景が異様なだけならいいのですが、やがてペニス全体がじんじんと痛み始めたのです。特に奥の方(膀胱?)が痛い。
自分なりに現在の状態を分析するに、ブジーの先端は膀胱に達し、膀胱と尿道の境目を支点として安定を保っているのではないか?
でなければ、こんな不自然な、そそり立つような勃起状態は理解できない。
だから、膀胱と尿道の境目には、今、ブジーとペニスの重量が全て負荷されている。
つまり、時間が経過すればするほど、痛みは増すのだ。
僕はうんうんうなりながら、時計を見つめ続けました。
「早く進め!早く進め!」
歯を食いしばって念じた効果があったのかなかったのか・・・それはわかりませんけどね。
とにかく約30分経って、再び主治医登場。
くいっくいっくいーっと、ブジーは入れるときよりは格段に簡単に抜けました。
その途端、一気に圧迫感は消え、痛みも遠ざかりました。
ほーっと安堵の深呼吸をしていると、看護師がちゃちゃっとガーゼでペニスの先端を拭いて、あろう事か、勝手にカーテンを開け放って出て行ってしまったのです。
僕は下半身、丸出しですよ?
慌ててパンツとパジャマを引き上げましたけどね。
この後、おしっこすると見事な血尿でした。
(もう血尿ごときでは驚かない僕)
痛みは一日でひきましたが、それにしても恐ろしい体験でした。
僕は主治医の言ったことを思い出しました。
「入院中、毎週やるからね」
毎週?
・・・・これを何度もやるの?(泣)
この始めての尿道ブジーは、抜糸が終わり、まさに普通の人間へと変容を遂げた、記念すべき日だったのです。
だから直ぐに気持ちは切り替えられましたけどね。
そんなわけで僕は、この尿道ブジーを計6回、体験したわけです。
その中には、ヘルパーさんに黙ってカーテン開けられたり、初々しい看護学生10名ちかくに見学されたり、出血した血が凝固して、おしっこが出なくなったりと、無事に済んだことがなかったかも。
一番ひどかったのは、30分経っても医師がきてくれなかったときです。
僕は泣きそうな声で何度もナースコールをしました。
「痛いんです」と。
看護師は同情してくれたけど(たぶん抜くのは難しくないだろうけど)、勝手に抜くわけにはいきませんからね〜。
ま、滅多に体験できない貴重な出来事でしたが、経験したからといって、僕になんかしらの恩恵があったとは思えません。
当たり前ですが(笑)